ファイル共有ソフトで前科者になった

shareで漫画をアップして摘発され前科者になったので、体験したことを書いてく

2017-01-01から1年間の記事一覧

ファイル共有ソフトで前科者になった -その30- 〈最後に〉

俺の家宅捜索(摘発)から判決・会社処分までの1年間を長々と書きました。 加害者として、犯罪者として、忘れることは許されず、自分が二度とこのような事を繰り返さないのは当たり前として、 自分の体験を皆に見てもらうことで「犯罪はワリに合わない」の…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その29- 〈民事〉

損害賠償請求の民事訴訟を起こす時効は、不法行為の被害者が「犯行及び犯人を知ってから3年間」。 今回の場合、被疑者不明で告訴した時点では犯人を知らず訴えられないから、時効の起算点は検察が起訴して裁判所が事件記録を開示できる時点からになるのかな…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その28- 〈失ったもの、得たもの

今回の摘発で失ったもの 会社での将来の出世の可能性 今後実績を上げたとしても処分経歴が足をひっぱるだろうし、配属先も冷遇されるだろう。 妻と両親からの信用 今でも妻との関係は良好だが、パソコン関係の話題になるとたまに「今度捕まったら離婚だよ」…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その27- 〈会社の処分

判決から1週間後に人事課長から呼び出されて事情(本人弁明)を聞かれた。 人事課長は別の課で元上司だった人で、「君とはこんな形で再会したくなかったよ」と言われ心にグサッときた。 1ヶ月後に部長室に呼び出された。 部長室に入ると、正面に部長。上司…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その26- 〈判決〉

罰金額はいくらになるだろう。 略式手続だから100万円を超える事は無く、審理がないから検事の求刑=判決となる。 ネットで見た判例だと50万の事件もあれば100万の事件もあり、今回立件されたのは5冊分なので大きくはないが、検事が余罪部分をどう…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その25- 〈押収品返還、弁護士報酬〉

検事取調べの翌日、××警察署の刑事から電話がきた。 押収品を返還するので受取りに来てほしいとのこと。なるべく妻も一緒に来るようにと。 夕方6時に約束。 仕事から帰って妻と一緒に車で警察署に。 生活安全課の相談室で待っていると、刑事が大きな段ボー…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その24- 〈検事調べ-2〉

検「警察での調書を読みましたが、そこで述べた内容の通りですか?」 俺「はい。」 検「shareのログ写真を見ると直近のIP取得が家宅捜索の3日前になってるけど、その日からの稼働で間違いない?」 俺「(そういえばそこは警察では聞かれなかったな)もう半…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その23- 〈検事調べ-1〉

俺の反省具合や被害者への謝罪や社会的罰について検事から聞かれるかと思い、出版社及び作者への謝罪及び被害賠償申出の手紙のコピー、会社への非違行為報告書のコピーを準備する。 午前中まで仕事だったのでワイシャツにスラックスの格好のまま行く。(カジ…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その22- 〈検察の求刑・懲役か罰金か〉

検察からの検事調べの呼び出しハガキが入っていないか、仕事から帰るとポストを毎日確認する。 1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月・・・来ない。 タイムリミットのある逮捕勾留してる事件(身柄事件)が優先で、俺のような在宅事件は後回しになるとわかっているが、や…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その21- 〈会社へ報告〉

弁護士と打合せするため弁護士事務所に行く。 弁護士が検事と面会したとき、俺が会社からの懲戒処分を受けたか検事が気にしていたとのこと。 弁護士の見解としては、社内処分を受けていれば「既に社会的罰を受けている」ということで検事が起訴猶予とする可…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その20- 〈送検〉

8月中旬 検察に送致(書類送検)したという電話が、刑事と弁護士のそれぞれから来た。 刑事からは刑事処分が決まったら内容を教えてほしいと頼まれた。 弁護士からは、担当検事に会いに行って被疑者の反省を伝え、懲役執行猶予となれば解雇され社会的罰とし…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その19- 〈警察での取調べ5回目以降〉

その後2回の呼び出し取調べがあった。 これまでの青色天使3冊に加え、余罪として別のマンガ2冊が追加され計5冊になった。 「余罪がたくさんあるけど、全部捜査するのは物理的に不可能なので、これだけ追加する」と刑事。 HDDを解析した結果に基づいて内…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その18- 〈刑事罰と会社の処分〉

それからしばらく警察からの連絡がなく、帰宅後に毎日ネットで情報収集する日々が続く。 ファイル共有ソフト関係では判決が「罰金30万円」「罰金50万円」「懲役2年、執行猶予3年」となっている複数の事例があり、ネットには事件の概要しかなく、何でこ…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その17- 〈警察での取調べ4回目〉

翌日の同じ時間、××警察署に。すっかり見慣れた建物だ。 部屋の封印を剥がして入室。クローン作成は無事完了していた。 もうHDDが壊れて証拠品が失われる妄想にひたれなくなった。 若手刑事と技術捜査員がオリジナルのHDDをパソコンに戻し、箱をシールと指印…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その16- 〈警察での取調べ3回目〉

毎日、「大地震が起きて俺のパソコンが証拠物保管庫の棚から転落して壊れないかな」「東日本大震災クラスの大災害が起きてHDD解析前に俺の事件どころじゃなくなって捜査中断して不起訴にならないかな」なんてありえない妄想をしてた。 この先どうなるのか不…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その15- 〈警察での取調べ2回目〉

1週間後の2月下旬。 2回目の取調べ。午後いっぱい有給休暇をとって約束の10分前に前回と同じ××警察署に着。 今回も同じ取調室に。 前回に要請されていた俺の出退勤簿・休暇簿のコピーを提出。 shareの稼働ログ、警察が傍受した通信記録と俺が自宅にいた…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その14- 〈妻へ告白〉

家宅捜索から5日後、妻の旅行からの帰宅日の夜。駅まで車で迎えに行く。 車に乗った妻から「あれ?痩せた?」と聞かれる。家宅捜索からずっと食欲がないので、やつれたかもしれない。 (後から体重計に乗ったら5kg痩せてた) 車内で妻が旅の思い出を楽しそ…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その13- 〈弁護士に法律相談、弁護人専任〉

家宅捜索の数日後、予約をしていた法律相談のため弁護士事務所を訪問。 自分の状況と質問事項をまとめた紙、 ACCS発表の毎年のファイル共有ソフト全国集中一斉取締りのマスコミ発表を印刷した紙、 著作権法の該当部分を印刷した紙、 法務省発表の刑事事件の…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その13- 〈職・贖罪〉

俺の会社の就業規則では、禁固以上の刑事罰をくらえば解雇となる。懲役で執行猶予がついても解雇である。罰金刑で済んでも非違行為に対する処分として懲戒解雇になるかもしれない。 なら今仕事をがんばっても無駄じゃないかという気もしてくる。 職場には発…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その12- 〈妻に伝えるか〉

帰宅してから、妻に摘発されたと伝えるべきか迷う。 今すぐ妻に伝えても妻にできることは無いし、楽しい旅行の邪魔をするだけなので、帰宅してから伝えようと決める。 妻に電話をかけ、スマホのLINEが使えなくなったので、これからのメッセージは携帯電話のC…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その11- 〈警察での取調べ1回目-4〉

次回の取調べは1週間後となった。平日の午後イチで半日年休を取ることになる。 俺の勤務状況を確認したいとのことで、出退勤記録簿と有給休暇簿のコピーを持ってくるよう言われる。 (後からネットで調べると、会社に家宅捜索をかけて押収することも可能な…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その10- 〈警察での取調べ1回目-3

年配刑事からの聴取中、若手刑事は箱から押収したパソコンを取り出し、警察のモニターにつないで内容を確認している。 俺のパソコンには ①OS、アプリ本体 ②自分で撮影した動画や写真 ③shareキャッシュフォルダ&ダウンロードフォルダ ④shareでダウンロードし…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その9- 〈警察での取調べ1回目-2〉

家宅捜索のときに容疑内容(shareの稼働と共有フォルダ設定)を裏付ける証拠を完璧に確認され、俺も素直に認めてたせいだろう、刑事ドラマのように怒鳴り声で「お前がやったんだろう!」と机を叩いて怒鳴ることはなく、年配刑事は落ち着いた声で淡々と話して…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その8- 〈警察での取調べ1回目-1〉

警察署に向かう前に、逮捕に備えて荷造りする。 小さな手提げバッグに、着替え(パンツ、靴下、長袖シャツ、ももひき)、歯ブラシ、電動ひげ剃り、ボールペンと大学ノート(取調記録ノートとして使う)を入れて、留置場生活に備える。 留置場では自殺防止の…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その7- 〈家宅捜索後3・弁護人探し〉

国選弁護人は起訴後しか認められないので遅すぎるし、ある程度の収入がある俺に国費負担は認められず私費負担になるだろう。 留置所には法律事務所のリストが備え付けられており、逮捕されてから看守に頼んで弁護士に来てもらい依頼することは可能なようだが…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その6- 〈家宅捜索後2 ・逮捕の恐れ〉

いろんな刑事事件のページを見ると、「最初は逮捕せず在宅捜査で進め、容疑が固まり次第、任意出頭後に警察署内で逮捕状を執行」という事例も多い。 ACCSの資料でも、家宅捜索日と逮捕日が異なってる事件がいくつかある。 法律では逮捕の要件として、容疑者…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その5- 〈家宅捜索後1・情報収集〉

これまで生きてて容疑者になったことはなく、どうすればいいのかわからないので、まずは過去の同様の事件や、刑事事件の流れを調べてみる。 ルーターと妻のノートパソコンが押収されなかったのは幸いだった。ノートを立ち上げファイル共有ソフトの摘発事例を…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その4- 〈家宅捜索3〉

年配刑事から「仕事は大丈夫?連絡してもいいよ。今日は一日出勤できないからね」と言われ、携帯電話で会社の上司に「どうしても外せない急用が発生したので今日一日休みます」と伝えた。 逮捕されてしまうと外部との連絡は一切許されず、家族や職場からは失…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その3- 〈家宅捜索2〉

「堀内さんはここに」という若手刑事の指示に従い俺は玄関前の廊下に立ち、最初の二人の刑事に続いて、後続の車から四人の若手捜査員が降りてゾロゾロと入ってきた。マンガで「ドヤドヤ」と効果音がつきそうな光景。俺は廊下に立ってそれを見るだけだ。 若手…

ファイル共有ソフトで前科者になった -その2- 〈家宅捜索1〉

2月某日(平日) いつものように朝7時に起きて、7時半ごろ、朝食前に毎日の日課として庭の草木の成長を見回ろうと玄関から庭に出た。 家の真ん前にバンが駐まっている。俺の家は住宅街の中で、見知らぬ車が家の周辺に駐まることは滅多にない。 『なんだろう…