ファイル共有ソフトで前科者になった

shareで漫画をアップして摘発され前科者になったので、体験したことを書いてく

ファイル共有ソフトで前科者になった -その7- 〈家宅捜索後3・弁護人探し〉

国選弁護人は起訴後しか認められないので遅すぎるし、ある程度の収入がある俺に国費負担は認められず私費負担になるだろう。
留置所には法律事務所のリストが備え付けられており、逮捕されてから看守に頼んで弁護士に来てもらい依頼することは可能なようだが、知り合いの弁護士はいないし、どの事務所がいいのか知らない。
当番弁護士という制度があり、法テラスを介して逮捕後に相談に乗ってもらうことは可能なようだが、順番での割り当てなので自分に合う弁護士とは限らない。
なら、逮捕される前に何人かの弁護士と法律相談の形で会って、この人がいいという弁護士に依頼したほうがいい。

県内の法律事務所のサイトを見て回るが、田舎県なもので「著作権法に強い」「インターネット事件に強い」とアピールしている所は見つからず、刑事事件の経験がありそうな法律事務所をいくつかピックアップして電話番号を紙にメモする。
(インターネットとは何か、ファイル共有ソフトとは何かから説明するのは大変そうなので、高齢の弁護士でなく40代以下の中堅若手の弁護士がいるところを選んだ。)
(広告やテレビCMで有名な全国に支店のある弁護士法人は過払い金メインで、刑事事件は片手間にされそうなので最初から除外した。)

携帯電話を押収されてしまったので、数年ぶりに公衆電話を使う。10円玉がどんどん呑まれていく。
手早く状況を説明したあと、法律相談という形でまず話をしたいとお願いし、3ヶ所で予約を入れた。弁護士は「家宅捜索時に逮捕されなかったのならしばらくは大丈夫でしょう。」ということで、どこも数日後の予約となった。
しかしやはり午後の出頭で逮捕されるかもという心配はあり、最も近場の弁護士に「逮捕されたら留置所から選任するので接見に来てもらえないか」と了解をとっておいた。

公衆電話から家に帰るまで、すれ違う街を歩いてる人たちはみな「市民」であり、俺もこれまではそうだったのが、
今や俺は「容疑者」となり「犯罪者」でありいずれ「前科者」となるわけで、それで俺はもう周りにいるどの人よりも格下で愚かで価値の低い存在であり、みっともなく情けない気持ちになった。

そういえば朝ご飯を食べてない。
食べる前に家宅捜索が始まって、それからネットで情報収集して弁護士事務所の予約をして、もう昼だ。
食欲は全く無いが、午後の取調べがいつまで続くかわからず、水分とエネルギー補給をしなければと思い、パンを口に押し込んだ。