ファイル共有ソフトで前科者になった -その28- 〈失ったもの、得たもの
今回の摘発で失ったもの
- 会社での将来の出世の可能性
今後実績を上げたとしても処分経歴が足をひっぱるだろうし、配属先も冷遇されるだろう。 - 妻と両親からの信用
今でも妻との関係は良好だが、パソコン関係の話題になるとたまに「今度捕まったら離婚だよ」とチクリと刺されて心が痛い。 - この1年間の精神的安定
送検されるまでいつ逮捕されるかもと不安で、会社の処分が決まるまではクビになるかもと不安で、仕事に集中できんかった。
妻や両親にも多大な心配をかけてしまった。 - 弁護士費用と罰金あわせて140万円
これまでダウンロードしたマンガを全部購入したとしても余る金額。犯罪はワリに合わないと痛感した。 - 外国への入国の自由
ビザ無し入国が認められている国でも、前科があると入国許可が必要になる。
得られたもの
- 刑事事件の手続きや刑事訴訟法の知識
ほぼネットで調べたのでこんな状況に陥らなくても調べられたんだけど、やっぱり自分の事となると頭に入る。
弁護士は基礎的な法的知識は教えてくれなかった。聞いたら教えてくれたんだろうけど。 - 「前科者」「犯罪者」という立場に容易に転落し得るんだという認識と用心深さ
あれ以来、法を意識して日常で行動するようになった。俺と同じように摘発された人や前科者への偏見がなくなった。
犯罪なんて縁遠い存在だとみんな思ってるだろうけど、
画像掲示板に他人のイラストや写真を貼り付けたり、youtubeにあるテレビ番組やIVやPVをHDDにファイル保存(ダウンロード)したら俺と同じ著作権法違反なんだぜ。
外国から輸入された(技的マークがない)無線マウスや無線キーボードやbluetooth付きノートPCを使ったら、無線局の無許可開局で電波法違反だぜ。
メートルとインチが併記された物差しを他人に売ったら、計量法違反で罰金50万円以下のれっきとした犯罪だぜ。
かように、刑事罰の設定された法律を犯す状況は世の中にたくさんある。摘発されないのはたまたま警察が見逃してるだけだ。
日常生活の中で自分のどういう行動が法に触れそうなのか意識して行動するようになった。
そういえば俺のスマホ、個人輸入のSIMフリースマホだった。技適マークがない、電波法違反。
押収されたときはSIMカードを刺してなくて、家庭内WIFIでしか使ってないからおとがめ無しだったのか。技適マーク無しのWIFIやbluetoothも電波法違反なんだけど、世の中には溢れるほどあるし、摘発したらキリがないか。
担当した刑事は県警本部と所轄署の生活安全課所属で電波法も所管してるから、気付かなかったってことはないだろう。たぶん。