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ファイル共有ソフトで前科者になった

shareで漫画をアップして摘発され前科者になったので、体験したことを書いてく

ファイル共有ソフトで前科者になった -その13- 〈弁護士に法律相談、弁護人専任〉

弁護士

家宅捜索の数日後、予約をしていた法律相談のため弁護士事務所を訪問。

自分の状況と質問事項をまとめた紙、
ACCS発表の毎年のファイル共有ソフト全国集中一斉取締りのマスコミ発表を印刷した紙、
著作権法の該当部分を印刷した紙、
法務省発表の刑事事件の違反法令と処分内容ごとの人数表を印刷した紙、
謝罪文、
会社の就業規則、など事務所分コピーして持っていく。

初日に逮捕されたら接見に来てとお願いしていた、家から近い弁護士事務所
40代の男性弁護士一人と女性事務員2人ほどの小さな事務所。
あまり刑事事件の経験はないようだ。
「成功報酬はまとめていくらではなく、接見一回いくら、終結後にいくらでやろうか。もしかしたら逮捕後の留置場は近場の××警察署ではなく、県警本部や県庁所在地の警察署になるかもしれない。(冗談めかして)自分がそこまで行くのは遠いから、接見のモチベーションも保てるし(笑)」との話。他よりも安い金額だった。
なんか頼りない印象を受けたので今選任を決めずに検討すると答えた。

県庁所在地にある弁護士事務所1
男性弁護士2人、女性事務員3人の事務所。
弁護士の一人が刑事事件関係の委員や講師をやったりで詳しそうなので選んだ。
状況を説明すると「逮捕も十分ありうる、執行猶予付きの懲役刑もありうる」との厳しい見解。
頼りになりそうだが、××警察署に留置された場合に接見が遠距離になるのが少し気になる。

近所の法テラス相談所 相談当番の弁護士にこれまでの法律相談の話をすると、上の「県庁所在地にある弁護士事務所1」で対応した弁護士がかなり刑事事件に精通した弁護士とのことで
「あの先生に相談したのなら依頼したらいいよ」とのアドバイスを貰った。

県庁所在地にある弁護士事務所2
男性弁護士4人、女性事務員3人の古参事務所。知り合いからの紹介。刑事事件はあまり手かげておらず、民事や企業法務が中心のようだ。
ボス弁と一番若手の弁護士の2人で対応してくれた。
見解としては上と同じ。ここのボス弁は行政や企業の顧問弁護士もやってる人で、雇用関係にも詳しく会社との今後についても話が及んだ。
いろいろ話しを聞いてここに依頼することにて、受任の返事を得た。

数日後に着手金の振込用紙が届いたので支払い。事実を争わない事件なので30万円。(争う事件だと50万円)
先の弁護士2人には断りの電話を入れた。

弁護士からは県警本部の生活保安部に弁護人選任届を出すとのこと。
担当検事が決まっていれば検事にも出して接触すると言ってたが、今回の捜査は警察主体で動いてるから、送検まで決まらない可能性が高いとのこと。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その13- 〈職・贖罪〉

会社とのこと

俺の会社の就業規則では、禁固以上の刑事罰をくらえば解雇となる。懲役で執行猶予がついても解雇である。罰金刑で済んでも非違行為に対する処分として懲戒解雇になるかもしれない。
なら今仕事をがんばっても無駄じゃないかという気もしてくる。
職場には発覚前に自己申告したほうが心証は良いだろうが、黙っておいてバレずにすごせるならそのほうが良い。どうするべきだろうか。

刑事によれば、警察から職場に「おたくの社員が容疑者になりましたよ」と連絡が行くことは無いらしいが、もし逮捕されれば22日間も出勤できないこととなり、弁護士経由で理由を説明せねばならず、発覚は免れない。
現時点で自己都合退職したときの退職金を計算すると200万円くらいになり、クビになって退職金無しになる前に自己都合退職すべきだろうか?それとも仕事を続けられる可能性にかけるべきだろうか?とても悩む。

その後数日間、家に帰ると毎日妻のノートPCを使って弁護士ドットコムでファイル共有ソフト著作権法違反関係のQ&Aを調べていた。
大阪の奥村徹弁護士がネット関係に非常に詳しく電話での相談も受けるとのことで、
電話をかけると奥村先生本人が出て、お忙しいところすいませんと挨拶し事件の概要を簡単に説明して相談に乗ってもらった。もう覚えておられないと思いますが、その節はありがとうございました。

被害者への謝罪文を書いた。マンガの著者と出版社あてに2通。
そもそも受け取ってもらえるかもわからないし、全国一斉集中取締りで定例的に共有ユーザーへの見せしめとして告発しているだろうから何の意味もないかもしれないが、何かしたかったので。
自分のしたこと、贖罪(被害弁償)したい意思と内容、反省の意を便箋8枚に書いた。
手書きで長文を書くなんて十数年ぶりで自分の字が下手になってることに驚いたが、ゆっくり丁寧に。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その12- 〈妻に伝えるか〉

妻とのこと

帰宅してから、妻に摘発されたと伝えるべきか迷う。
今すぐ妻に伝えても妻にできることは無いし、楽しい旅行の邪魔をするだけなので、帰宅してから伝えようと決める。
妻に電話をかけ、スマホのLINEが使えなくなったので、これからのメッセージは携帯電話のCメールかEメールに送ってほしいと伝える。
妻から旅の様子を知らせる楽しそうなメールが定期的に届くが、俺はそれどころではなく、上の空で返事を書く。

妻がこのことを知ったら、どう思うだろう?
犯罪者の夫なんか嫌だ、愛想がつきたと、離婚を持ち出されるだろうか?
両親も子が犯罪者になってしまったと悲しむだろうか。

夜になっても食欲が湧かず、簡単にパンだけ食べて済ませる。
夜ベッドに入って横になっても、先の不安からなかなか寝られない。

翌日出勤したが、頭の中はこれからの成り行きへの不安がいっぱいで、仕事に集中できない。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その11- 〈警察での取調べ1回目-4〉

警察からの取調べ

次回の取調べは1週間後となった。平日の午後イチで半日年休を取ることになる。
俺の勤務状況を確認したいとのことで、出退勤記録簿と有給休暇簿のコピーを持ってくるよう言われる。
(後からネットで調べると、会社に家宅捜索をかけて押収することも可能なようで、そうなれば会社に多大な迷惑をかけることになるので、任意で提出依頼してくれてありがたい。)
年配刑事と若手刑事の二人は××署の所属ではなく県警本部の所属で、俺の捜査のためにここまで来てるようだ。

帰りは署の裏口まで若手刑事が案内してくれた。
別れ際に「堀内さん、そのカバンは何を持ってきたんですか?」と聞かれ、「逮捕勾留に備えて着替えを持ってきました。」と答えると、苦笑いしながら
「堀内さんは素直に認めているし真面目に出頭して答えてくれているので、逮捕するつもりはありませんから、次から持ってこなくても大丈夫ですよ。」と言う。

でも、いつ状況が変わるかもしれないし、他の事件では取調中に刑事から言われた事を反故にされたという事例をいくつもネットで見ているので、俺の心中から逮捕に対する恐怖は全く無くならないのだった。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その10- 〈警察での取調べ1回目-3

警察からの取調べ

年配刑事からの聴取中、若手刑事は箱から押収したパソコンを取り出し、警察のモニターにつないで内容を確認している。

俺のパソコンには
①OS、アプリ本体
②自分で撮影した動画や写真
③shareキャッシュフォルダ&ダウンロードフォルダ
④shareでダウンロードしたマンガファイル(共有フォルダに設定)
⑤テレビチューナーで録画したTSファイルの保存
の5つの物理HDDが入っており、このうち③④⑤は4TB HDD。

それを確認した若手刑事
「堀内さんのパソコン自体を解析するのではなく、HDDをコピーしてクローンHDDを作ってそれを解析しますが、今県警には4TBのHDDがないのでクローンが作れません。手配するので、届くまでまた封印します。」とのこと。
箱にパソコンを戻し、ガムテープで閉めてシールを貼り、日付と名前を書いて封印の指印を押した。封印を指差したポーズで写真を撮られる。

スマホのロック解除方法を聞かれたので説明すると、技術担当らしい捜査員がUSBで機械に繋いでデータを吸い出そうと試みるが、国産ではなくシャオミ(中国製)のredmi noteでOSもシャオミ製のカスタムandroid(MIUI)なので上手くいかないようだ。

携帯電話は普通のAUガラケーなのでデータ吸出し作業はすぐに終わり、電話がないと困るだろうということで、その場で返却(還付)されることになった。受取証(還付請書)に指印を押す。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その9- 〈警察での取調べ1回目-2〉

警察からの取調べ

家宅捜索のときに容疑内容(shareの稼働と共有フォルダ設定)を裏付ける証拠を完璧に確認され、俺も素直に認めてたせいだろう、刑事ドラマのように怒鳴り声で「お前がやったんだろう!」と机を叩いて怒鳴ることはなく、年配刑事は落ち着いた声で淡々と話していく。
最初に「言いたく無いことは言わなくてもいいからね」と言われ「ああ、黙秘権の告知か」と思うが、それは極めて形式的な儀式に過ぎなかった。
その後、質問に対しては有無を言わさず答えなければいけない雰囲気だった。(否認してないので事実と反することを無理矢理同意させられることはなかったが)

細かい聴取内容の一字一句は覚えて無いが、
刑「あなたに対して、青色天使(仮名)というマンガの1巻、2巻、3巻のデータをshareを使ってアップロード可能な状態にしていたことで著作権法違反で調べています。間違いないね?」
俺「はい、間違いありません」
刑「反省している?」
俺「とても反省しています」
といった一問一答の形で進んでいき、30分ほどの簡単な認否の確認で終わった。

最後に年配刑事が内容を一本指でカタ、カタとノートパソコンにゆっくり打ち込んでいく。
一枚紙にまとまった調書は「自分の言いたくないことまで、無理に話をしなくてもいいことは、説明を受けよくわかりました。私は○○したことに間違い有りません。私は~・・・」といった一人称での陳述となっていた。(初回のこれは弁解録取書というらしい)
いくつか誤字があったので指摘して打ち直しとなり、内容に異議はないので指印を押した。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その8- 〈警察での取調べ1回目-1〉

警察からの取調べ

警察署に向かう前に、逮捕に備えて荷造りする。
小さな手提げバッグに、着替え(パンツ、靴下、長袖シャツ、ももひき)、歯ブラシ、電動ひげ剃り、ボールペンと大学ノート(取調記録ノートとして使う)を入れて、留置場生活に備える。
留置場では自殺防止のためヒモ・ボタン・ファスナー・フード付きの服は持ち込めないようなので、防寒着としてハイネックフリースとスウェットパンツを着る。その上にコートとオーバーパンツ(これはボタンとファスナーが付いてるので持込不可)を着ていく。

刑事事件の流れとか、逮捕され留置所に入れられる前に何を用意したらいいかとか、ネットがなければ有識者に相談しなければ得られなかった知識で、ありがたいことだ。

旅行から帰宅した妻が俺がいなくて心配するだろうから、机の上に妻あての手紙を置いておく。
これを読んだ妻の気持ちを想像すると気が重くなるが、仕方ない。
経緯を書いて、謝って、君が別れたいなら応じるけど俺は一緒にいたい、と書いた。
(逮捕勾留されたらすぐ弁護士に電話して接見に来てもらい、両親に伝えてもらい、両親から妻にも伝えてもらうつもりだが、念のため。)

1時半に家を出て、1時50分に××警察署に着。署の横にある駐輪場に停めたら朝の若手刑事がいて(タバコ吸ってた?)、二人で裏口から入る。
2階の廊下に頑丈な窓無し金属扉があり、横にある暗証番号ロックを若手刑事が押し(俺に見えないように体で隠していた)中に入ると、短い廊下の両側に2つずつの取調室(使われていなかった)、俺はつきあたりの大きな取調室に誘導された。中で年配刑事が机の前に座っていた。
刑事ドラマで見るような殺風景なコンクリート壁にボロ机ではなく、白い内装で明るい雰囲気で、外に面した窓に目隠しのプラ板と格子があるのを除けば、小さめの事務室のようだ。

年配刑事から机の向かい側に座るよう言われ、座る。
若手刑事は離れた机に座る。
座っているので直立不動ではないが、緊張で体がこわばる。