ファイル共有ソフトで前科者になった

shareで漫画をアップして摘発され前科者になったので、体験したことを書いてく

ファイル共有ソフトで前科者になった -その2- 〈家宅捜索1〉

2月某日(平日)
いつものように朝7時に起きて、7時半ごろ、朝食前に毎日の日課として庭の草木の成長を見回ろうと玄関から庭に出た。
家の真ん前にバンが駐まっている。俺の家は住宅街の中で、見知らぬ車が家の周辺に駐まることは滅多にない。
『なんだろう、怪しい車だな。動く様子はなさそうだ。いつまで駐まってるんだ?』
といぶかしみ、車を『俺はお前を警戒しているぞ』アピールを込めてジロジロ見る。中は暗いので良く見えないが、運転席と助手席にいる二人の男が俺を見て何かを話しているのはわかった。

車が動く様子はなさそうだ。
眼力で車を去らせることはあきらめ、庭の目につく雑草を腰をかがめてブチブチ抜いていく。
車の二人が降りてきた。二人ともスーツ姿で、20代後半くらいの若い男と、白髪まじりで50代くらいの男。

年長のほうが、門の向こうから声をかけてきた。
「堀内○○さんですか?」
「はい」
「私、警察の者です」
 と警察手帳を示している。刑事だ。『何か周辺で事件があって聞き込みに来たのかな?』と思う。
「堀内さんに、著作権法違反の容疑で家宅捜索令状が出ています。中に入れてください。」

ぐわんと、世界が揺れる。
全身の血管がキュッと縮まって全身がヒヤッと冷たくなる感覚で、まさに”サーと血の気が引く”状態。
彼らから見たら、俺はよろけてたかもしれない。

著作権法違反と聞いた瞬間に「shareのことだな」とわかった。自分のしていることはわかってた。
裁判所の令状がある以上、何も抵抗はできない。
俺が門を開けて二人が玄関前に立つと、年長の刑事が携帯電話をかけ、近くで待機していたらしいもう1台の車がやってきた。
おそらく2台そろってから俺を呼び出す予定が、俺が先に外に出て車を怪訝な目で見てたので、家の中に戻られる前に急いで声をかけてきたんだろう。

そのまま玄関のドアを開け二人を玄関に入れると、年長の刑事が家宅捜索令状を提示して読み上げた。
頭に血が登ってるような思考能力の低下した頭でぼーっとそれを聞きながら
『そうか、来たか。こうなった以上は仕方ない。』
と全て受け入れたような、投げやりのような、諦めの思いでいっぱいになる。

ファイル共有ソフトで前科者になった -その1- 〈前記〉

去年、ファイル共有ソフト「share」を使ったことで警察から著作権法違反として家宅捜索を受け摘発され、刑事罰を受けて前科者になった。
「よほど運が悪くないと摘発なんてされないよ」という意識(以前の俺)で著作物をアップしてる人への警鐘、これから先に摘発される人の参考になるかもしれんので、体験を書いてく。
自分のスペックは、30代男、事務職サラリーマン、既婚で子無し。
もう刑事事件としては終了しているが、身バレすると恥ずかしいので細かい部分を一部改変し、名前も仮名「堀内」とさせてもらう。

ファイル共有ソフトで著作物をアップするのは違法だと知っていて、定期的にアップロード者が摘発されているのも知っていたが、「国内のファイル共有ユーザーのノード数15万人」という情報も知っていて、「摘発されるのは宝くじに当たるような確率だろう。よっぽど運が悪い数人が見せしめ的に捕まってるだけだ」と高をくくっていた。
たまにニュースサイトで目にする摘発事例を見て「アニメやゲームや商用ソフトは危ないが、画像なら大丈夫だろう」と、大量のマンガデータを共有フォルダに入れていた。(実は既にマンガアップロードでの摘発事例は多数あったのだが、知らなかった。)

以前の俺の甘々な認識として、人様から批判されるのを承知で戒めとして書くと、
「○○○ちゃんねるのような画像掲示板に貼られてる絵だって違法アップロードには違いないが摘発なんてされてない。マンガ一冊丸々アップしたって同じだ」と思ってたり、
「直接に他人の持ってる金銭や財産を盗むわけではなく、有料なら買わないけど無料なら落そうという仲間同士でやりとりしてるだけで、他人の商売の邪魔をしているわけではない」
という「違法ではあるけど犯罪として扱われるほど悪質なことではない」と思っていた。
もちろんそれは大間違いだったわけだが。